
健康保険料率が過去最高の平均9.34%に|社会保険料の負担増と助成金の適正利用について
企業と従業員が負担する社会保険料について、今後の動向に注目が集まっています。
健康保険組合連合会が公表した2025年度の決算見込みでは、健康保険組合の平均保険料率が9.34%となり、過去最高となる見通しが示されました。また、雇用調整助成金などの不正受給に伴う返還金についても、多額の未返還が問題となっています。
今回は、健康保険料率の動向と、企業が注意しておきたい社会保険・助成金管理について解説します。
健康保険組合の平均保険料率は9.34%に
健康保険組合連合会によると、2025年度の健康保険組合の平均保険料率は、前年度から0.03ポイント上昇し、9.34%となる見通しです。
健康保険組合全体の経常収支は2,417億円の黒字となり、2年連続で黒字を確保する見込みとなっています。しかし、全体の37.2%の健康保険組合では赤字が見込まれており、組合によって財政状況に差があることが分かります。
健康保険組合の保険料収入は9兆5,682億円となり、前年度から4.6%増加しました。この増加分のうち約2,803億円は、賃上げによる影響とされています。なお、9.34%は健康保険組合の平均保険料率であり、全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率とは異なります。
賃上げによって社会保険料も増える?
健康保険や厚生年金保険の保険料は、原則として標準報酬月額や標準賞与額を基に計算されます。そのため、基本給や各種手当などが増加すると、標準報酬月額の改定などを通じて社会保険料が増える場合があります。
例えば、従業員の給与を引き上げる際には、給与そのものの増加額だけでなく、会社負担分の社会保険料も考慮する必要があります。
また、健康保険料率は加入している保険者や年度によって異なるため、給与計算では最新の保険料率を確認することが重要です。
雇用調整助成金などの未返還額は約747億円
社会保険に関連する企業の管理業務として、助成金の適正な申請・受給も重要です。
会計検査院が公表した検査結果によると、新型コロナウイルス感染症への対応として支給された雇用調整助成金などについて、不正受給に伴う返還金の未返還額が2024年度末時点で約747億円に上っていました。
件数は1万8,814件とされ、このうち約104億円について、12労働局で督促などの回収手続きが適切に行われていない事例が確認されています。
会計検査院は、厚生労働省に対して債権管理の改善を求めました。
この747億円は不正受給に係る返還金の未返還額であり、通常の助成金受給額や企業全体の未払い金を意味するものではありません。
助成金の申請では正確な書類管理が重要
雇用関係助成金は、企業の雇用維持や労働環境改善を支援する制度ですが、支給要件を正しく満たしていることが前提となります。例えば、助成金の種類に応じて、次のような書類の整備が必要となります。
- 雇用契約書や労働条件通知書
- 出勤簿やタイムカード
- 賃金台帳
- 就業規則や各種規程
- 助成金の支給要件に関係する実施記録
申請内容と実際の勤務状況が異なる場合などには、不支給や返還の対象となる可能性があります。
助成金を活用する際には、支給要件を事前に確認し、正確な記録を残すことが重要です。
まとめ
健康保険組合の平均保険料率が過去最高となるなど、社会保険料の負担は企業経営において重要な課題となっています。また、助成金についても、制度の適切な理解と正確な申請・管理が求められています。


