
精神障害による労災が過去最多に|企業に求められる長時間労働・ハラスメント対策
従業員のメンタルヘルス対策は、企業の労務管理においてますます重要になっています。
厚生労働省が公表した2025年度の「過労死等の労災補償状況」では、脳・心臓疾患や
精神障害による労災認定が合計1,310件となり、4年連続で過去最多となりました。
精神障害による労災認定は1,086件
2025年度の労災認定件数を見ると、
- 脳・心臓疾患:224件
- 精神障害:1,086件
となっています。
特に精神障害については前年度から28件増加しました。
原因別では、上司などからのパワーハラスメントが222件で最多となり、カスタマーハラスメント、
セクシュアルハラスメントがそれぞれ127件となっています。
企業にとってハラスメント対策は、単なる職場環境の問題ではなく、労災や企業責任にもつながり得る問題です。
労災の判断まで半年以上かかるケースも増加
労災申請の増加に伴い、審査の長期化も問題となっています。
申請から半年以上経過した「長期未決事案」は、今年1月末時点で2,329件と、5年前から倍増しています。
特に精神障害による労災申請は増加しており、2025年度には4,958件となりました。
精神障害の場合、仕事内容だけでなく、労働時間、人間関係、ハラスメントの有無など
さまざまな事情について調査が必要となるため、判断に時間がかかるケースがあります。
医師の15%が年間960時間を超える時間外労働
長時間労働については医療現場でも課題が残っています。
厚生労働省の調査では、2025年に年間960時間を超える時間外労働をしていた
病院の常勤勤務医は約15%とみられています。
2016年の39.2%、2022年の21.2%からは大きく減少していますが、
依然として長時間労働を行う医師が一定数存在しています。
「月45時間を超えたら違法」という意味ではありません
厚生労働省は、時間外労働を一律に月45時間以内とするよう求めてきた行政指導についても見直しを進めています。
今後は、36協定や特別条項の内容、労使の合意、健康確保措置など、各事業場の実態を踏まえた確認を重視する方向です。
ただし、これは時間外労働の上限規制そのものを緩和するものではありません。
36協定の締結や届出、上限規制への対応が不要になるわけではないため注意しましょう。
企業が確認しておきたいこと
長時間労働や精神障害の労災を防ぐためには、残業時間だけを見るのではなく、
- 36協定が適切に締結されているか
- 勤怠が正確に記録されているか
- ハラスメント相談窓口が機能しているか
- 管理職への教育を行っているか
- 長時間労働者への健康確保措置が行われているか
などを総合的に確認することが重要です。
まとめ
精神障害による労災申請・認定が増えている現在、メンタルヘルス対策は企業規模を問わず重要な労務課題となっています。
問題が起きてから対応するのではなく、日頃から労働時間管理やハラスメント対策を整備しておくことが重要です。
西川事務所では、36協定、就業規則、ハラスメント対策など、企業の労務管理についてご相談を承っております。


