国民年金の第3号被保険者制度が見直しへ|「国保逃れ」問題と社会保険の適正加入について解説

社会保険制度を取り巻く環境が大きく変化しています。

厚生労働省では、国民年金の第3号被保険者制度について、対象者の縮小に向けた検討を開始しました。
また、個人事業主などが形式的に法人の役員となることで国民健康保険料などの負担を回避する、いわゆる「国保逃れ」の問題についても、調査や適用の適正化が進められています。

今回は、これらの動向と社会保険制度の基本的な仕組みについて解説します。

国民年金の第3号被保険者制度とは

国民年金の第3号被保険者とは、厚生年金保険に加入している第2号被保険者に扶養されている、原則20歳以上60歳未満の配偶者をいいます。一定の要件を満たす場合、第3号被保険者は国民年金保険料を個別に納付する必要がありません。

しかし、共働き世帯の増加や働き方の多様化に伴い、制度の公平性などが課題として指摘されています。

第3号被保険者はピーク時から約半減

厚生労働省によると、第3号被保険者数は1995年度末の約1,220万人をピークに減少し、2024年度末には約640万人となっています。こうした状況を踏まえ、厚生労働省は制度の対象者縮小に向けた検討会を設置し、実態調査や課題の整理を進める方針です。

検討結果については、2030年度に予定される次の年金制度改正への反映が想定されています。
ただし、現時点で第3号被保険者制度の廃止や対象者の縮小が決定したわけではありません。

今後の議論や法改正の動向を確認することが重要です。

「国保逃れ」とはどのような問題なのか

一方、社会保険への加入をめぐっては、いわゆる「国保逃れ」の問題も注目されています。

これは、実際には法人の役員としての活動実態が乏しいにもかかわらず、形式的に役員に就任するなどして、国民健康保険ではなく健康保険などの被用者保険に加入しようとするものです。

報道された事案では、低額の役員報酬を設定する一方で会費を徴収する仕組みが問題視されています。

厚生労働省の調査では、全国45事業所で関与が疑われる事案が確認され、2026年8月時点で1万1,610人が被用者保険の被保険者資格を喪失したとされています。

また、勤務時間が極端に短い従業員として形式的に雇用する手法についても、適用を認めないとする取扱いが示されています。

社会保険は契約書の名称だけでは判断されない

社会保険への加入については、契約書の名称や役職だけではなく、実際の勤務状況や報酬の支払実態などが重要になります。例えば、法人の役員であっても、実際の経営への関与や報酬の実態などによって被保険者資格の判断が異なる場合があります。

また、従業員についても、勤務時間や雇用形態、事業所の状況などを踏まえて加入要件を確認する必要があります。
不適切な加入が判明した場合には、被保険者資格の訂正や保険料の精算などが必要となる可能性があります。

企業が確認しておきたい社会保険の管理

企業では、次のような点を定期的に確認しておくことが大切です。

  • 社会保険の加入対象者が適切に加入しているか
  • パートタイマーなどの加入要件を正しく判断しているか
  • 役員報酬や給与の支払実態と届出内容が一致しているか
  • 標準報酬月額の届出が適切に行われているか
  • 従業員の扶養状況に変更がないか

特に、従業員の働き方が変わった場合や給与体系を変更した場合には、社会保険の取扱いも確認する必要があります。

まとめ

第3号被保険者制度の見直しに向けた議論や「国保逃れ」問題への対応など、社会保険制度の適正な運用が一層重視されています。制度を正しく理解し、実態に即した加入手続きを行うことは、企業と従業員の双方を守ることにつながります。

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