
社会保険の「社保逃れ」に注意|歩合給や手当を社会保険料の対象外にしていませんか?
従業員に支払う給与について、社会保険料の算定対象となる「報酬」を正しく取り扱っていますか?
保険代理店業界において、保険募集人の報酬の一部を社会保険料の算定対象から外していた、
いわゆる「社保逃れ」の疑いが報じられています。
社会保険料の負担を軽減するために給与の名称や支払方法を変更しても、
実態として労働の対価であれば社会保険上の「報酬」と判断される可能性があります。
固定給だけが社会保険料の対象ではありません
健康保険・厚生年金保険の保険料は、原則として従業員に支払われる「報酬」をもとに標準報酬月額を決定します。
ここで注意したいのが、「基本給だけを対象にすればよい」というわけではないことです。
基本給のほか、
- 各種手当
- 歩合給
- 能率給
- 通勤手当
- その他労働の対価として継続的に支払われるもの
なども、原則として報酬に含まれる可能性があります。
名称ではなく、そのお金が何に対して支払われているのかという実態が重要になります。
保険業界で問題となった「社保逃れ」
報道では、保険代理店が募集人への報酬を固定給と歩合給に分け、歩合給部分を社会保険料の算定対象に含めていなかった疑いが指摘されています。
業界団体も問題を重く受け止め、会員企業に自主点検を求める動きが出ています。
この問題は保険代理店だけに限った話ではありません。
営業職などでインセンティブや歩合給を多く支払っている企業では、同様の問題がないか確認しておく必要があります。
「業務委託にすれば社会保険に入らなくていい」とも限らない
もう一つ注意したいのが、雇用契約ではなく業務委託契約とするケースです。
契約書に「業務委託」と記載していても、
- 会社から具体的な指揮命令を受けている
- 勤務時間・勤務場所を拘束されている
- 仕事を断る自由がほとんどない
- 報酬が実質的に労働時間の対価となっている
など、働き方の実態によっては労働者性が問題になる場合があります。
契約書の名称だけで社会保険や労働法の適用を回避できるわけではありません。
社会保険料を抑える目的だけの給与設計には注意
社会保険料は会社と従業員双方にとって大きな負担です。
そのため、社会保険料を適正な範囲で抑えたいと考えること自体は不自然ではありません。
しかし、報酬に該当する給与を意図的に算定から外してしまえば、後から保険料の遡及徴収などが問題になる可能性があります。
特に、
「以前からこの方法でやっている」
「他社も同じ方法を使っている」
「専門家から大丈夫だと言われた」
という場合でも、現在の給与体系が適切かどうかを改めて確認することが大切です。
まとめ
給与体系が複雑になるほど、「どこまでが社会保険料の算定対象なのか」という判断も難しくなります。
歩合給や各種手当を設けている企業では、給与規程や実際の支給方法とあわせて、社会保険上の取扱いを確認しておきましょう。
問題が指摘されてから修正するのではなく、事前に給与体系・社会保険の取扱いを点検することが企業のリスク管理につながります。
社会保険労務士・行政書士 西川事務所では、社会保険手続きや給与体系、就業規則など企業の労務管理についてご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。


